ロードバイクのサイズ選びは、初心者が最初に悩むポイントのひとつです。
実は、身長だけでは決まりません。フレーム素材やコンポーネントの選び方は別の記事にまとめましたが、どんなに良い素材・コンポでも、サイズが合っていないとすぐに体が痛くなったり、楽しく乗れなかったりします。
今回は初心者が特に悩む「サイズの選び方」と「どこで買うか」の2つを、まとめて解説します。
ロードバイク初心者のサイズ選び方
ロードバイクはサイズが合っていないと、すぐにどこかが痛くなります。たとえば、サドルの位置ひとつで腰が痛くなったり、サドルが低すぎると太ももに負担がかかりすぎて長距離を走れなかったりします。そのため、サイズ選びは非常に重要です。
また、ロードバイクのメーカーによってサイズ表記が違います。S・M・Lで表記するメーカーもあれば、460・500・520といった数字で表記するメーカーもあります。つまり、同じ「M」でもメーカーによってサイズが異なるので注意が必要です。
身長別サイズの目安
基本的にサイズ選びで一番重要なのは身長です。目安はこんな感じです。
| 身長 | 目安サイズ |
|---|---|
| 〜160cm | XS / 470前後 |
| 160〜170cm | S / 500前後 |
| 170〜175cm | M / 520前後 |
| 175〜185cm | L / 540前後 |
ただし、これはあくまで目安です。さらに、またがり丈(股下の長さ)も重要で、同じ身長でも足の長さが違うと合うサイズが変わってきます。
僕は170cmで、53を選んだ
参考までに、僕自身の話をします。身長は170cm。買ったのはBIANCHIのSPRINTで、フレームサイズは53です。
ここで気づいてほしいのは、上の表に「53」という数字がどこにもないことです。表では170〜175cmはM(520前後)。ところが、ビアンキのカタログに「M」というサイズは載っていません。47・50・53・55・57という数字だけです。しかも170cmなら、ひとつ下の50も候補に入ります。
つまり身長別の表は、「どのあたりを見ればいいか」を教えてくれるだけで、最後の一台までは決めてくれません。メーカーが変われば、刻み方も呼び方も変わるからです。

表を見て「自分はMだな」と思って店に行ったら、そもそもMが存在しなかった。最初はこれで固まりました。
またがり丈は、家で測れる
「またがり丈(股下の長さ)も重要」と書きましたが、これだけだと何をすればいいか分かりませんよね。実は、厚めの本を1冊とメジャーがあれば、家で測れます。
- 靴を脱いで、壁に背中とかかとをつけて立つ(足は15cmくらい開ける)
- 厚めの本を背を上にして股にはさみ、少し強めに引き上げる(サドルにまたがったときの感覚に近づけるため)
- 本の上の面が壁のどこに来るか、印をつける
- 床から、その印までの高さをメジャーで測る
これが股下です。ひとりだと印をつけるのが難しいので、誰かに手伝ってもらうと早く終わります。僕は170cmで、股下は約75cmでした。
この数字が分かると、身長別の表よりずっと解像度が上がります。同じ170cmでも、股下72cmの人と78cmの人では、またがったときの余裕が数cm違います。数cmというのは、信号待ちでつま先立ちになるか、足の裏がちゃんと着くかくらいの差です。
測った数字は、まずお店で伝えるためのものです。「170cmで、股下は◯cmです」と言えば、あとは店員さんが候補を出してくれます。自分で計算式に当てはめる必要はありません。ただ、この数字はサドルの高さの目安にもなります。それについては、この記事の後半で書きます。
サイズが合っていないと、何が起きるか
サイズが合っていないと痛くなる、と最初に書きました。もう少し具体的に書きます。
大きすぎる場合。ハンドルが遠くなるので、腕を伸ばして体を支えることになります。すると体重が手のひらと肩に乗って、走っているうちに手がしびれてきます。信号待ちで足の裏が着かないのも、大きすぎる側の症状です。
小さすぎる場合。膝が窮屈になって、ペダルを回すたびに膝がハンドルに近づいてきます。姿勢を起こそうとしてサドルを下げると、今度は太ももだけで漕ぐことになって、長い距離が走れません。
そして、大きくても小さくても最後に来るのがお尻の痛みです。ただ、お尻に関してはサイズだけの問題ではありません。サドルの高さ、前後の位置、角度、それにパンツの中身。ここは長くなるので、別の記事にまとめています。

実際にまたいで確認することが大切
一番確実なのは実店舗で試乗することです。実際にまたがって、ペダルを踏んだときに膝が少し曲がるくらいがベストポジションです。
僕も何台かまたがりました。サイズが違うと、はっきり違います。ひとつは足が地面に着かないこと。またがった瞬間に「あ、これは無理だ」と分かるレベルです。もうひとつはハンドルが少し遠いこと。手を伸ばした先にハンドルがある感じで、これで何時間も乗るのかと思うと不安になりました。
そのとき店員さんに言われたのは、「身長的に、まずこのサイズをまたいでもらえますか?」の一言でした。身長を聞いて、候補を出して、あとはまたがって確かめる。お店の人がやっていたのは、その順番でした。逆に言えば、ネットで数字だけ見て決めるというのは、この工程を丸ごと飛ばすということです。

足が着かない、ハンドルが遠い。この2つは、またがれば1秒で分かるよ。
腕の長さや足の長さも人それぞれなので、サドルの高さだけでなく、ハンドルの位置なども調整ポイントになってきます。なお、最近では女性向けにサイズが小さめのモデルをメインにしているメーカーもあります。
ちなみに僕は、サイズが合った一台を買ったあとも、サドルの高さすら分からないまま乗り始めました。サイズ選びはスタートラインで、そこから先にも分からないことは続きます。
買ったあと、機械で測ってもらった
ここまでは、買うときの話でした。ここからは、買ったあとの話です。
僕はいまの一台を買って、しばらく乗ったあとに、一度きちんと測ってもらったことがあります。ビアンキの正規ショップで受けられる、シマノのバイクフィッティングというものです。実際の自転車ではなく、サドルもハンドルも自由に動く測定用の台にまたがって、ペダルを回しながらポジションを詰めていきます。
終わると、こういう用紙をもらえます。

結果は、やっぱり53だった
用紙に何が書いてあったか。まず、これでした。
Recommended Size:53
僕が店でまたがって選んだサイズと、同じでした。
正直、ほっとしました。買ったときの僕は、何も分かっていなかったからです。表を見て「Mだな」と思って行ったら、ビアンキにMは無かった。店員さんが出してくれた数台にまたがって、「これかな」で決めた。それが正しかったのかどうか、確かめないまま乗り続けていたわけです。
機械のほうは、僕が身長別の表のどこに当てはまるかなんて見ていません。体の動く範囲と、ペダルを回したときの角度を測って数字を出します。そこで同じ53が出た。ということは、またがって決めるという原始的なやり方は、そんなに外していないということです。

あのとき「これかな」で決めたやつ、合ってたんだ。
サドルの高さが、計算式とほぼ同じだった
もうひとつ、面白いことがありました。
用紙に書かれていたサドルの高さは663mm。ペダルの回転中心からサドルの上面までの距離です。
一方、ロードバイクの世界には昔から使われている目安の計算式があります。股下 × 0.885。僕の股下は約75cm=750mmなので、
750 × 0.885 = 663.75mm
差は1mm以下でした。
つまり、家で本をはさんで測った数字だけでも、サドルの高さのだいたいの正解にはたどり着ける、ということです。もちろん個人差はありますし、これはあくまで出発点にすぎません。それでも、何も分からない状態から始めるよりは、ずっといい。またがり丈を測る価値は、ここにもあります。
サイズが決まったあと、調整するのはハンドルまわり
その日、僕は2パターンの数字をもらいました。ひとつは「ROAD – SPORT」、もうひとつは「ROAD – COMPETITION」。前者がゆったりめ、後者が前傾の強いレース寄りの設定です。
面白いのは、2つのあいだで変わらなかった数字のほうです。
| SPORT | COMPETITION | |
|---|---|---|
| サドルの高さ | 663mm | 663mm(同じ) |
| クランクの長さ | 167.5mm | 167.5mm(同じ) |
| ハンドルの幅 | 380mm | 380mm(同じ) |
| ステムの長さ | 90mm | 110mm |
| サドル〜ハンドル | 約777mm | 約805mm |
| ハンドルの落差 | 57mm | 77mm |
変わったのは、ハンドルまわりだけでした。差にすると2〜3cm。数字で見ると小さいですが、乗ってみると別物です。
ここから分かることが、ひとつあります。
フレームサイズとサドルの高さは「体」で決まる。ハンドルの位置は「何をしたいか」で決まる。
そして、前者はあとから変えられません。後者はステムを替えれば変えられます。だから最初に真剣に選ぶべきなのは、フレームサイズのほうなんです。
ちなみに僕が選んだのは、ステムが短いほうでした。速く走ることより、長く気持ちよく走るほうが好きなので。

サイズは骨格、ハンドルは目的。おぼえておいて。
ネット vs 実店舗、どちらで買う?
結論から言います。初心者は実店舗一択です。
ネットで買うと、何が起きるか
結論だけ置いても納得できないと思うので、ネットで買った場合に何が起きるかを並べます。
またがれません。これがすべてです。この記事でずっと書いてきた「またがって確かめる」が、まるごとできません。
完成した状態では届かないことが多いです。ハンドルが横を向いていたり、ペダルが付いていなかったりします。自分で組むか、近所の店に持ち込んで組んでもらうことになります。そして、よそで買った自転車の組み立てを断るお店は、普通にあります。
初期整備がありません。新品の自転車は、乗り始めてしばらくするとワイヤーが伸びて変速がずれてきます。店で買っていれば「じゃあ初期点検で見ますね」で終わる話です。
サイズが合わなくても返品できないことが多いです。20万、30万のものを、またがらずに、返品できない条件で買う。それが「ネットで買う」ということです。
もちろん、2台目・3台目で自分のサイズも好みも分かっている人なら、話は別です。分かっていないうちは、店で買ったほうが結果的に安い、というのが僕の考えです。
「お店に入るの緊張する…」「何も知らないのに行っていいの?」そんな心配は不要です。確かに、高そうな自転車が飾られていて入りにくい雰囲気はありますよね。しかし、自転車屋さんはロードバイク初心者が来ることに慣れています。むしろ「初心者です」と正直に言った方が、丁寧に教えてもらえます。
お店に入るのが怖かった僕の話
僕もそうでした。
最初にスポーツ自転車の店に入れたのは、知り合いについて行ったからです。ひとりでは入れませんでした。壁に高そうな自転車が並んでいて、店員さんは常連さんと専門用語で話している。何も知らない自分が入っていい場所には見えなかったんです。
でも、入ってみたら普通でした。
そのとき教わったことを、ひとつ覚えています。サイクルジャージを見ていたら、「これ、背中は長くて、お腹は短いんですよ」と言われました。前傾姿勢で乗ると背中側は引っ張られて、お腹側は縮む。だからそういう形に作ってある、と。
言われてみれば当たり前ですが、言われなければ一生気づきませんでした。ネットの商品ページには、そんなことは書いていません。
そのとき買ったジャージは、たしか1万3千円くらいでした。今はパールイズミのものを着ていますが、形はやっぱり同じで、背中が長くてお腹が短い。あのとき教わった意味が、乗るたびに分かります。
パールイズミ レースジャージ(N610-B)を見る(Amazon)
その店員さんには、あとから霞ヶ浦を一周する120kmのコースも教えてもらいました。友達と走って、それが僕の初めてのロングライドになりました。また会いに行きたいと思える店員さんが、自転車には要ります。
自転車を買うというのは、たぶん、そういう人をひとり見つけることでもあります。

同じ値段でも、買ってるものが違うってことだね。

実店舗で買う最大のメリット
実店舗で買う一番のメリットは、購入後のサポートです。サドルの高さ調整、ブレーキの効き具合、ポジションのフィッティング——これらは買ってからも何度もお世話になります。つまり、買ったお店だからこそ、気軽に相談できる関係が生まれます。
また、ほとんどのショップには購入者特典(無料点検など)があるので、できるだけ家の近くで買うのがベストです。
そして僕の場合、お店との関係は買った日で終わりませんでした。この記事の途中に書いたフィッティングも、店に行かなければ、そんなものがあること自体を知りませんでした。ネットで買っていたら、いまも自分のサドルの高さが合っているのかどうか、知らないままだったと思います。
まずは近くのスポーツ自転車専門店に、手ぶらで入ってみてください。
ちなみに、車体と一緒によく聞かれるのが「サイクルコンピューター(サイコン)は必要か」という話です。スマホで十分なのか、僕が3年使って感じていることはロードバイクにサイコンは必要?スマホで十分か3年使って出した答えにまとめました。
まとめ
今回はサイズの選び方と、どこで買うかについて解説しました。
| チェック | ポイント |
|---|---|
| ✅ | 身長別の表は「どのあたりを見るか」を教えてくれるだけ。最後の一台は決めてくれない |
| ✅ | 股下は家で測れる。本1冊とメジャーがあればいい |
| ✅ | 足が着くか、ハンドルが遠くないか。またがれば1秒で分かる |
| ✅ | フレームサイズは体で決まる。ハンドルの位置はあとから変えられる |
| ✅ | 分かっていないうちは、実店舗で買ったほうが結果的に安い |
ロードバイクって買う前も買った後も、正直わからないことだらけです😅でも、そこを調べたり試したりするのが楽しかったりするんですよね。一緒に楽しみながら情報をシェアできたらと思っています。
実際に走り始めてから気づいたこと・必要だったものは、ロードバイクで走る前に知っておきたかった失敗談にまとめています。



コメント