ヤビツ峠に初心者として挑戦しました。下見なし、ぶっつけ本番。そして一度、諦めた。それでも登れた話をします。
ヤビツ峠とは
神奈川県秦野市にある標高761mの峠です。ロードバイク乗りの間では「ヤビツ」と呼ばれ、神奈川を代表するヒルクライムコースとして有名です。
東京・神奈川エリアのサイクリストにとって、ヤビツ峠はひとつの「通過点」のような存在。つまり、「ヤビツ登ったことある?」という会話が自然に出てくる場所です。
上級者30分前後。
中級者45分前後。
初心者1時間前後
今回のスタート地点はセブンイレブン名古木店。ここがヤビツ峠ヒルクライムの定番スタート地点です。
ちなみに、サイコンのスタートボタンを押し忘れて、最初の約1kmは記録なし。でも体はちゃんと覚えていました笑
詳しいコース情報は神奈川県公式サイトでも確認できます。
| 項目 | データ |
|---|---|
| 距離 | 10.59km |
| 登坂高度 | 583m |
| 平均速度 | 11.79km/h |
| 走行時間 | 53:55 |
| 平均心拍数 | 174bpm |
| 気温(麓) | 28〜30℃ |
| 気温(頂上) | 23℃ |
平均心拍数174bpm。45歳の最大心拍数の目安は175bpm。つまり、ほぼ限界まで追い込んでいました笑
実際にスタートはめっちゃきつかったです
ちなみにこの記録は2回目の登りのものです。1回目は途中でUターンしていて、そちらは15分ほどで引き返しました。その話はあとで書きます。
ヤビツ峠に行く前に知っておきたいこと
登った話の前に、実際に行くとなったときに必要な情報をまとめておきます。僕が行く前に知りたかったことです。
スタート地点までのアクセス
定番のスタート地点はセブンイレブン名古木(ながぬき)店。ここまでの行き方は、電車・車・自走の3つです。
電車なら小田急線の秦野駅から。駅前で組み立てて数kmでスタート地点に着きます。車で来る人もいますが、コンビニの駐車場に長時間停めるのはお店の迷惑になるので、別の駐車場を探すことになります。
そして僕は自走でした。逗子の家から海沿いを西へ走って、花水川橋を曲がって北上。スタート地点に着いた時点で、すでに約40km走っています。
正直に言うと、初めてなら自走はおすすめしません。ヤビツに全部の脚を使えるほうが絶対にいいです。僕は「行きも走りたい」という気持ちが勝ってしまっただけです。
ギアは何が必要か
ここが一番気になるところだと思います。僕のBIANCHI SPRINTは買ったときのままで、クランクが52×36T、スプロケットが11-28T。いわゆるコンパクトクランク(50×34T)ですらありません。
つまり一番軽いギアが36×28。ヒルクライム向けの構成では全然ないのですが、これで登り切れました。逆に言えば、34Tのコンパクトクランクの人や、後ろが11-30T・11-32Tの人は、僕よりずっと余裕があるということです。
ギアが足りるか不安な人へ。足りなくても、登れます。ただし足をつく可能性は上がるので、このあと書く住宅地エリアの直登だけは覚悟しておいてください。車体のスペックはBIANCHI SPRINTのレビューにまとめています。
頂上には何があるか
ヤビツ峠の頂上には公衆トイレと自販機があります。飲み物は買えるので、ボトルを飲み切ってしまっても大丈夫です。
売店もありますが、僕が行った日は休みでした。定休日だったのかもしれません。あてにしないほうがいいと思います。
さらに階段を上がったところにもお店があります。僕はそこでゆっくりしてから下りました。登り切ったあとの時間をどう過ごすかまで決めておくと、気持ちに余裕が出ます。
交通量はどうか
行きの時間帯は、それなりに車が走っていました。ただ、怖いと感じるほどではありません。道幅の狭い区間もあるので、後ろから車が来たら無理に真ん中を走らず、譲れるところで譲る。それだけ気をつけていれば大丈夫でした。
ヤビツにたどり着く前に、逗子でパンクした
2026年6月22日。朝8時に逗子の家を出ました。今日はヤビツだ、という気持ちで海沿いに出て——逗子海岸でパンクしました。
スタート地点にすら、着いていません。
路肩に寄せてチューブを交換していると、ひとりのおじいさんが話しかけてきました。昔マウンテンバイクで日本中を旅したのだそうです。どこを走った、あそこは良かった。その話を聞きながら、僕は新しいチューブを入れてタイヤをはめていました。
不思議なもので、そのあいだに「今日はもうやめようかな」という気持ちが消えていました。

出発してすぐパンクなんて、心が折れませんか?

折れかけたよ。でも直せる装備を持っていたから、遅れただけで済んだ。パンク修理セットは、こういう日のためにあるんだ。
参考までに、あのときサドルバッグに入っていたのは4点です。替えのチューブ、タイヤレバー、電動の空気入れ、六角レンチ2種類。
チューブはパナレーサーのPURPLE LITE。TPUという素材で、普通のチューブよりずっと小さくたためます。サイズは700×23-32C、バルブは仏式65mmを使っています。
パナレーサー PURPLE LITE TPUチューブを見る(Amazon)
タイヤレバーはボントレガーの赤いやつを2本。これでタイヤのふちを起こします。
空気入れはCYCPLUSのAS2 PRO。手のひらサイズの電動ポンプで、ボタンを押しておけば勝手に空気が入ります。路肩でポンプを何十回も動かさずに済むのは、正直かなり楽です。
結局、再出発は9時ごろ。1時間のロスです。
海沿いを西へ走っていると、通勤の人たちとすれ違います。同じBianchiに乗っている人がいて、でもそっちはクロスバイク。普通に追い越させてもらいました(笑)逆にスーツでロードバイクに乗っている人もいて、その人のペースがちょうどよかったので、しばらく同じ速さで走っていました。
朝の海沿いは、こういうことがあるから面白い。ヤビツはまだ40km先です。
ヤビツ峠を3つのエリアに分けて考える
序盤1/3:住宅地エリア(スタートにして最大の難所)
スタートのセブンイレブン名古木店を出た瞬間から、勾配はキツめです。
「え、もうこれ?」という印象。心の準備がないと、最初の坂でもうやられます。しかも、住宅地エリアにはアップダウンがあります。ただし、アップの勾配が全然優しくない。下って少し回復したと思ったら、また急坂が来る。
そして住宅地エリアの最後に、直登の激坂が待っていました。
知らなかった。下見ゼロのぶっつけ本番だったので、そこが住宅地エリアの終わりだということも、その先に何が待っているかも。
結果、足をつきました。
初めての経験でした。そのまま心が折れて、Uターン。スタート地点のセブンイレブンまで約4km、下りました。
中盤:峠道エリア(バスのUターン地点から)
キツい住宅地エリアを抜けると、雰囲気が一変します。滑り止めの丸いコンクリートが敷かれた道が現れて、「あ、やっと峠道だ」という感覚になります。
景色は木のトンネル状態。
バスがUターンする地点が、峠道の始まりの目印です。
このあたりから勾配は少しだけゆるくなります。
終盤:菜の花台園地〜ゴール(ラスト約4km)
菜の花台園地は駐車場があり、景色が最高のポイントです。そして同時に、ヤビツ峠ラストスパート区間のスタート地点でもあります。
道は細くなり、勾配は比較的優しくなります。「最後だ」という気持ちもあって、姿勢と回すことを意識しながら、このエリアは楽しめました。
一度諦めた。でも、、、。
セブンイレブンまで下りながら、思いました。
「何しに来たんだろ……」
悔しかった。そして、下を向いていました。心拍はまだ高いまま。足はガクガク。
でも同時に、もうひとつの気持ちが出てきました。
歩いてでも登れる。でも、好きなロードバイクの車体で、自分の足で頂上に立ちたい。
どんな行き方でも頂上は見られる。しかし、それじゃなかった。この自転車で、自分の足で、761mの看板の前に立ちたかった。愛車BIANCHI SPRINTで、自分の足で頂上に立ちたい。
そのまま、もう一度スタートしました。
2回目の挑戦で、登り切った
1回目で足をつかせた直登も、2回目は越えられました。
なぜなら、「ここを越えたら峠道に入れる」とわかっていたから。知っているだけで、全然違います。
菜の花台を過ぎて、ラスト4kmへ。姿勢を意識して、ペダルを回す。そして——
「丹沢大山国定公園 ヤビツ峠 761M」
看板が見えた瞬間、声が出ました。
一度は諦めた場所に、自分の足でたどり着いた。その喜びと達成感は、今までのライドで一番大きかったと思います。
下りは意外とたいへんだった
登りに全集中していたので、下りのことはあまり考えていませんでした。
実際、下りは結構大変でした。スピードが出すぎるので抑えながら下る必要があり、ブレーキを握り続けるせいで肩と腰が痛くなりました。特に住宅地エリアまでは慎重に。
ただし、頂上での達成感を持ったまま下る風は、格別でした。しんどいはずなのに、気持ちいい。結局それしかない笑
もうひとつ、下りで気づいたことがあります。下ハンを握ると、ブレーキがずっとラクになります。ブラケットを持っているより指に力が入るので、握り続けても疲れにくい。買ったばかりの頃は下ハンが怖くて使えませんでした(その話は40代でロードバイクを買った理由に書いています)。それがこの日は、自然と下を持っていました。
あとはブレーキを握りっぱなしにしないこと。前後を交互に、こまめに離す。ずっと握っているとホイールが熱を持ちますし、なにより手がもちません。

登りより下りのほうが危ないよ。頂上での達成感のまま、勢いで突っ込まないこと。

はい、ゆっくり下りますね。
そして最後の住宅地エリア。登りで一番きつかったあの区間は、下りでは一番スピードが出ます。路地から車が出てくることもあるので、ここだけは本当にゆっくり下りました。
当日の装備
| アイテム | 詳細 |
|---|---|
| パンク修理セット | 替えチューブ・タイヤレバー・電動ポンプ |
| 補給 | 補給ジェル2種類 |
| ボトル | スポーツドリンク+お水の2本 |
気温が麓28〜30℃、頂上でも23℃あったので、ダウンヒル用のウェアは不要でした。ただし、季節によっては頂上は一気に冷えるので注意が必要です。
補給ジェルは2種類を持っていきました。ヒルクライムは平坦より圧倒的に消耗するので、ジェルは2本以上あったほうがいいです。何をどう食べるかはロードバイクの補給食まとめに書きました。
ボトルは2本体制で、スポーツドリンクと水。夏はこれでもギリギリでした。頂上に自販機があるとはいえ、登っている最中には何もありません。
そして反省点がひとつ。サイコンのスタートボタンを押し忘れました。最初の約1kmが記録に残っていません。そもそもサイコンが必要かどうかはロードバイクにサイコンは必要?にまとめています。
ヤビツ峠、初心者に伝えたいこと
・下見なしのぶっつけ本番はリスクあり。特に住宅地エリアの直登は、知っているかどうかで全然違います
・ギアは足りなくても登れる。僕は52×36T+11-28Tで、コンパクトクランクですらありませんでした
・補給は多めに持っていく。登りで消耗するので、ジェルは2本以上おすすめ
・ボトルは2本体制。夏場は特に水分が足りなくなりやすいです
・下りは下ハンで、ブレーキはこまめに離す。登りより疲れます
・足をついても諦めない。登り直せます
この補給とボトルの話は、走り出してから痛い目を見て覚えたことです。ほかにも初心者のころにやらかした失敗をロードバイクに乗る前に知っておきたかった4つの失敗談にまとめています。
そして一番伝えたいのは、諦めなければ、登れるということです。
心が折れたとき、好きな自転車で、自分の足で行けたとき、その達成感は別物です。
ヤビツ峠、ぜひ挑戦してみてください🚴♂️


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