逗子に引っ越して、はじめて知ったこと
ロードバイクの洗車って、結局どこから手をつければいいのか分からないですよね。僕もずっとそうでした。
そもそも、チェーンオイルに「ウェット」と「ドライ」の2種類があるって、知っていましたか。
僕は知りませんでした。
ロードバイクに乗り始めてしばらく、オイルはオイルだと思っていたんです。自転車屋さんで買った1本をずっと使い続けていて、それ以外の選択肢があることすら考えたことがなかった。
それが変わったのが、逗子に引っ越してからでした。
海が近いので、走って帰ってくると自転車がなんとなく塩っぽい。砂も乗る。それで「これ、ちゃんと手入れしないとまずいのでは」と思って調べ始めたときに、はじめてオイルに種類があることを知りました。

オイルって、そんなに種類があるんですか?

そうなんだ!チェーンにつけるオイルは種類があるんだ!大きく分けて2種類。油が残るウェット系と、乾いた被膜になるドライ系。性格がぜんぜん違うんだよ。
ウェットとドライ、何が違うのか
ざっくり言うと、こういう違いです。
| ウェット | ドライ | |
|---|---|---|
| 持ち | 長い | 短め |
| 雨・水 | 強い | 弱い |
| 汚れ | 付きやすい | 付きにくい |
| 向いている場面 | 雨・ロング・冬 | 晴天・街乗り |
ウェットは油そのものがチェーンに残るタイプ。粘りがあって水に流されにくいので、雨の日やロングライドに強い。そのかわり油が残るぶん、砂やホコリを吸い寄せてチェーンが黒くなりやすい。
ドライは溶剤にワックス成分を溶かしたもので、塗ると溶剤が飛んで乾いた被膜だけが残ります。ベタつかないから汚れにくくて、チェーンがきれいなまま。でも水に弱くて、雨に降られると流れ落ちてしまう。
あなたはどっちを選ぶ?
この記事で使っているのはウェットのほうです。理由はこのすぐ下に書きます
で、僕が選んだのはウェットでした。
海沿いは潮風と砂の両方がある環境です。ドライだと被膜が薄いぶん、塩気が残った状態で流れてしまうのが不安だった。多少チェーンが汚れても、しっかり油が残っている方が安心だなと。
そのかわり、汚れるぶんだけ定期的に洗う必要が出てきます。
というわけで今日は、月1回やっている洗車のルーティンを、最初から最後まで全部書きます。
先に、今日使うものを全部並べておきます
この記事、けっこう長くなります。
なので先に、洗車台の横に並んでいるものを全部出しておきます。これを見てから読んでもらったほうが、「今どの工程の話をしているのか」が分かりやすいと思うので。
買わなくていいもの:台所と洗面所で足りる工程
あと、買わなくていいものも同じ表に入れました。 ここが意外と大事で、僕も最初は「全部専用品を揃えないと始められない」と思い込んでいたんです。実際は台所と洗面所にあるもので足りる工程がけっこうあります。
| 工程 | 使っているもの | ひとことメモ |
|---|---|---|
| ①チェーン洗浄 | WAKO’S チェーンクリーナー(330mL) | 汚れを「溶かす役」。シールチェーン対応で防錆剤入り |
| ①チェーン洗浄 | 食器用洗剤 | 溶けた汚れを「流す役」。家にあるふつうのやつで足ります。買わなくていい |
| ①チェーン洗浄 | ブラシ類 | トイレ掃除用ブラシと大きめの歯ブラシ。専用ブラシは使っていません |
| ②ホイール・タイヤ | WAKO’S フォーミングマルチクリーナー(380mL) | 泡で出る弱アルカリ性。広い面を洗うための万能クリーナー |
| ③フレーム仕上げ | WAKO’S バリアスコート(300mL) | ガラス系ハイブリッドのコーティング剤。艶が出て汚れも付きにくくなる |
| ⑥注油 | Muc-Off C3 WET CERAMIC LUBE | この記事の主役。海沿いを走るならウェット、が僕の結論 |
| ⑥手を汚したくない人 | ニトリル手袋(100枚入) | はじめての人はこれがあるとストレスが激減します |
| ⑦拭き取り | ウエス/マイクロファイバークロス | 使うのは10秒。でも効果はいちばん大きいかもしれない |
実際に買っているケミカルは4本だけ
こうして並べてみると、実際に買っているケミカルは4本だけです。
そのうち、いちばん迷って、いちばん考えて選んだのがオイルでした。理由は記事の後半(⑥注油)でちゃんと書きますが、先に見ておきたい人のために置いておきます。
先に正直なことを書いておきます
一般的に、チェーンの洗浄と注油は100〜200km走るごとが目安と言われています。
僕は引っ越してから、月に300kmも走れていません。それで洗車は月1回くらい。目安から見ると、正直ちょっとサボり気味です。
でも、月1回でもここまでやればちゃんときれいになります。
毎回のライド前に完璧に整備している人の記事を読むと「そこまでできないな」と思ってしまうので、同じくらいのペースの人に向けて書きます。

月1でいいなら、私にもできそうです!
ロードバイクの洗車は「汚い順」に洗う
工程に入る前に、ひとつだけ。
汚い順に洗います。 チェーン → ホイール・タイヤ → フレーム、の順番です。
理由は単純で、逆にやると意味がなくなるから。せっかくフレームをきれいにしても、そのあとチェーンを洗ったら汚れた水が下に流れてきます。いちばん汚いところから始めて、だんだんきれいなところへ移っていく。


上流から下流へ。これだけ覚えておけば、順番で迷わないよ。
① チェーンを徹底的に洗う
まずチェーンです。ここに一番時間をかけます。
使っているのはこの2つ。
WAKO’S チェーンクリーナー(330mL)
生分解性の洗浄剤で、シールチェーンにも対応、防錆剤も入っています。チェーン専用のクリーナー。
食器用洗剤
家で使っているふつうのやつです。

えっ、食器用洗剤ですか?

これがけっこう効くんだ。役割が違うからね。
この組み合わせが、いちばんチェーンがピカピカになります。最初はなんとなくだったんですが、あとから考えると理屈が通っていました。
チェーンクリーナーは「溶かす役」です。 こびりついた古い油やグリスを溶かして、チェーンから浮かせてくれる。
でも、溶かしただけだと油はまだチェーンの表面にいます。そこで登場するのが「流す役」の食器用洗剤。洗剤に入っている界面活性剤が、浮いた油を水と一緒に流せる状態にしてくれるんです。
溶かして、流す。この分業がポイントでした。

ブラシは専用品を使っていません。トイレ掃除用のブラシと、大きめの歯ブラシです。トイレ用ブラシでチェーン全体をガシガシやって、歯ブラシで細かいところ。プーリーやスプロケットの間は歯ブラシの方が届きます。

専用工具を揃えないと始められない、と思わなくていい。まずやることが大事。
流してみて、ピカピカになっていたらタオルで拭きます。まだ黒いようならもう一度。
② ホイールを外して、タイヤとリムを洗う
チェーンが終わったら、前後のホイールを外します。
外すのは面倒ですが、外した方が圧倒的に洗いやすい。フレーム側もホイール側も、隠れていたところに手が届きます。
ここで使うのがもう1本のケミカルです。
WAKO’S フォーミングマルチクリーナー(380mL)
泡で出てくる弱アルカリ性のクリーナー。ノンシリコーンで、水なしでも使えるタイプです。
実はこれ、僕は長いことチェーン用のクリーナーだと思っていました。
「水溶性チェーンクリーナー」みたいな認識で買っていたんですが、あらためて缶をよく見たらチェーン専用ではなく万能クリーナーでした。フレームやホイールみたいな広い面を洗うための製品です。

それ、勘違いだったんですね……!

でも結果的には正しい使い方をしてたんだよね。広い面を洗うのに使ってたんだから。
というわけで、これでタイヤとホイールを洗います。
そして、リムブレーキの人はここが本題です。
僕のBianchi Sprintはリムブレーキなので、ブレーキシューが当たるリムのアルミの部分をしっかり洗います。ここは削れたシューのカスと汚れが溜まる場所なので、けっこう黒くなっています。
洗ったあと、必ずしっかり拭き上げてください。
これは僕が失敗して覚えました。
【失敗談】洗車したらブレーキから変な音が鳴った
はじめて自分で洗車をした日のことです。
きれいになったなあと満足して、さっそく走りに出ました。そしたら、ブレーキをかけるたびに「シャーッ」とか「ギーッ」とか、明らかに今までと違う音がする。
焦りました。
洗ったせいで壊したのかと思って、そのまま自転車屋さんに駆け込みました。


こわい……! 壊れちゃったんですか?

壊れてなかった。原因は拭き上げ不足だったんだ。
お店の人に教えてもらったのは、リムに汚れやゴミが残っていると、それをシューが噛み込んで音が鳴る、ということでした。
洗ったこと自体は間違っていない。洗ったあとに、ちゃんと拭けていなかったのが原因だったんです。
それ以来、リムのブレーキ面だけは念入りに拭くようになりました。ここは見た目の問題ではなく、ブレーキが効くかどうかに直結する場所です。
洗車したあとにブレーキから変な音がする人、けっこういるんじゃないかと思います。同じところでつまずいた人の参考になれば。
③ フレームを洗って、コーティングする
ホイールが終わったら、最後にフレームです。同じくフォーミングマルチクリーナーで洗って、流して、タオルで拭き上げます。
水をかけるときに気をつけている場所があります。
BB(ボトムブラケット)まわりと、ヘッド・ステムまわり。フレームの中にベアリングが入っている部分です。ここに水を入れたくないので、直接は当てないようにしています。

高圧で吹きかけるのは特にNG。中に水が入るとサビや固着の原因になる。
拭き上げが終わったら、仕上げにこれを使います。
WAKO’S バリアスコート(300mL)
ワックスだと思っていたんですが、正しくはガラス系ハイブリッドのコーティング剤でした。艶が出て、そのあと汚れも付きにくくなります。
これを吹いて拭き上げると、新車みたいな艶が出ます。この瞬間がいちばん気持ちいいかもしれません。
⚠️ ただし、絶対に避ける場所があります
リムのブレーキ当たり面には、絶対にかけないでください。
コーティング剤の被膜が乗ると、ブレーキの効きが落ちます。同じ理由で、タイヤの接地面とサドルも避けたほうがいいです。


ピカピカにしたいけど、ブレーキは別なんですね。

そう。「きれいにする」と「ちゃんと止まる」は両立させないといけない。
④ ホイールを戻して、ポジションを測り直す
きれいになったホイールを戻します。
そしてここで、メジャーを出します。
僕は洗車のたびに、サドルの高さ・角度・前後位置をメジャーで測って確認しています。


洗車なのに、サドルを測るんですか?
理由は、自分の正解を数字で持っておきたいからです。
サドルって、乗っているうちに少しずつズレます。でも毎日乗っていると、ズレたことに気づけない。なんとなく「最近しっくりこないな」と思っても、どこがどう変わったのか分からないんですよね。
数字で控えておけば、迷ったときに必ず戻れる場所ができます。
洗車のときは車体をじっくり見るタイミングなので、ついでに測ってしまうのが習慣になりました。月1回の定期健診みたいな感覚です。
⑤ 空気圧を入れ直す
タイヤの空気を入れます。
夏場は5.0〜5.5barくらいで入れています。ゲージを見ながら、その日の気分と路面で微調整。
空気は放っておいても自然に抜けますし、夏は気温でも変化します。洗車のあとは必ず入れ直すようにしています。
⑥ 最後の仕上げに、注油する
全部きれいになったところで、いよいよオイルです。
使っているのは冒頭に書いたウェット系。
Muc-Off C3 WET CERAMIC LUBE
Muc-Offのルブは天候だけでなくグレードでも分かれていて、C3セラミックは上位のシリーズにあたります。セラミックの粒子が入っていて、それがベアリングのように働くことで走りが軽くなる、という設計です。
海沿いを走る僕にとっては、雨や水に強いウェットであることがいちばんの決め手でした。
塗り方:乾かしてから、内側のリンクに
注油はチェーンが完全に乾いてから。 これは公式の使い方にも書かれています。洗浄で油分を落として、しっかり乾かして、それから塗る。僕がやっている「徹底的に洗ってから最後に注油」という順番は、メーカーの推奨どおりでした。
塗り方は、ペダルを逆に回しながらチェーンの内側のリンクに落としていきます。
素手か、手袋か
そしてここからが、たぶん人によっては引くところです。
僕は、そのあと手で馴染ませています。
タオルではなく、指でチェーンをつまんで回す。そうすると隙間まで油が入っていく感じがして、なんとなく安心するんです。


手、真っ黒になりませんか……?

なる。でも洗車の直後だから、その場で水で流せるんだよね。
始めたころは100枚入りの安い使い捨て手袋をしてやっていました。今は素手です。慣れると、こっちの方が早いなと。
はじめての人には手袋をおすすめします。 溶剤も油も手には優しくないので、あるとストレスがだいぶ減ります。
⚠️ 手で触ったあとの注意
油の付いた手で、リムのブレーキ面に触らないよう気をつけてください。
洗車が終わったあとの工程なので、うっかり触っても水で流し直すわけにいきません。ブレーキの効きに直結する場所です。
僕は一度、拭き上げ不足でブレーキを鳴らしているので、この動線だけは意識するようになりました。
⑦ 次の洗車までの、ふだんのメンテ
ここまでが月1回のルーティンです。
でも、チェーンの手入れは月1回で終わりではありません。
僕は洗車のあと、次の洗車までの間、乗る前にオイルを足してから走るようにしています。
月1の洗車が「リセット」だとしたら、こっちは「日々のメンテ」。二階建てになっているイメージです。

月1の大掃除だけじゃなくて、乗る前のひと手間。これで全然ちがう。
やることは簡単で、チェーンにオイルを足すだけ。数十秒で終わります。
拭き取りについて、正直に書きます
僕は、拭き取りをしたりしなかったりです。
でも記事を書くにあたって調べ直したら、拭き取りは「油を減らす作業」ではありませんでした。
チェーンの潤滑に効いているのは、リンクの内部に入った油だけ。表面に乗っている油は仕事をしていなくて、それどころか砂やホコリを吸い寄せて、研磨剤みたいにチェーンやスプロケットを削る側に回ってしまう。
つまり拭き取りは、仕事をしていない油だけを捨てる作業です。拭いても潤滑性能は落ちない。

じゃあ、拭いたほうが得しかないってことですか?

そういうこと。しかもウェット系は残る設計だから、余った分もしっかり残っちゃうんだ。
ウエスを1枚持っておいて、チェーンを何回か逆回ししながら軽く握るだけ。10秒で終わります。
これは習慣にしよう、と反省しました。
次に買いたいもの:トルクレンチ
最後に、まだ持っていないものの話をします。
僕はボルトの増し締めを六角レンチでやっています。でも六角レンチって、力を入れようと思えばいくらでも入るんですよね。
締めすぎるとフレームやパーツに負担がかかる、というのは知識としては知っています。特にカーボンは「強く締めるほど安心」ではなくて、決められたトルクで締めることが大事だと。
でも初心者のころは、そんなこと考えもしませんでした。むしろ「緩んだら怖いから、しっかり締めよう」と思っていた。 たぶん逆のことをしていたと思います。
というわけで、次に買うならトルクレンチだと思っています。
今日書いた工程の中で、唯一「まだできていないこと」です。買ったら、また記事にします。
ここまで読んでもらって、もし1つだけ買うなら何かと聞かれたら、僕はオイルと答えます。
ブラシは家にあるもので代用できるし、クリーナーは正直どのメーカーでもそれなりに落ちる。でもオイルだけは、自分の走る環境に合っていないと結果が変わってしまうので。
まとめ:月1回、300km未満でもここまでできる
長くなったので、まとめます。
- チェーンを洗う(溶かす役のクリーナー+流す役の食器用洗剤)
- ホイールを外してタイヤとリムを洗う → リム面は必ず拭き上げる
- フレームを洗ってコーティング(リム面には絶対かけない)
- ホイールを戻して、メジャーでサドルを測り直す
- 空気圧を入れ直す(夏は5.0〜5.5bar)
- 最後にウェット系オイルを注油
- 次の洗車まで、乗る前にオイルを足す
専用工具はほとんど使っていません。ブラシはトイレ用と歯ブラシ、洗剤は台所のもの。
大事なのは、いい道具を揃えることより、やること自体だと思っています。
月1回でも、やるとやらないでは全然ちがいます。走り出しの軽さが違うし、なにより自分の自転車を隅々まで触るので、変化に気づけるようになる。


今度の週末、やってみます!

最初はチェーンだけでもいいよ。それだけでも走りが変わるから。
あわせて読みたい


コメント